人工知能とは(G検定向け)

2023年11月19日日曜日

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人工知能の定義

人工知能(Artificial Intelligence)は近年広く報道や商品説明で聞くが、実は現時点で明確な定義はなく、第一線の有識者の間でも様々な考え方がある。人工知能学会の理事を務めている東京大学大学院の松尾豊准教授は「人工的に作られた人間のような知能、ないしはそれを作る技術」※1と定義ししている。また、AIという言葉の産みの親の一人、ジョン・マッカーシー教授は、「知的な機械,特に,知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」※2と定義している。

※1『深層学習教科書 ディープラーニング G検定(ジェネラリスト) 公式テキスト』の一部、出典:『人工知能学会誌』
※2 人工知能のFAQ(人工知能のFAQ (ai-gakkai.or.jp))

人口知能の歴史

人工知能に関する研究は1950年代後半から始まり、ブームと冬の時代を繰り返しながら今に至っている。現在は3度目のブームにあたり、これまで2度目のブームと冬の時代を経験しているが、紆余曲折の背景には、ブーム初期の期待とその後の現実がもたらす失望があった。
これらブームはそれぞれ、第一AIブーム第二次AIブーム第三次AIブームと呼ばれ、さらに各ブームにおいてその時の主な研究内容を表す名前がつけられている。

  1. 第一AIブーム:推論探索の時代
  2. 第二次AIブーム:知識の時代
  3. 第三次AIブーム:機械学習と特徴表現学習の時代

時代ごとに研究内容が異なる様に思えるが、厳密には時代間で重なりがあり、第三次AIブームの主役である機械学習のアイディアは既に第一AIブーム時代に提案されていた。また、第一AIブームの推論探索は、今でも重要な研究に位置付けられている。

引用:総務省 人工知能研究の歴史(総務省|平成28年版 情報通信白書|人工知能(AI)研究の歴史 (soumu.go.jp)
  1. 第一次AIブーム(探索・推論)
    • 1956年 米国ダートマスで行われた研究者ワークショップ(ダートマス会議※1)において、人間のように考えられる機械を人工知能と呼ぶことが提唱された。このワークショップには、ジョン・マッカーシー※2、マービン・ミンスキー、アレン・ニューウェル、ハーバート・サイモンなど著名な研究者が参加していた。彼らは皆、コンピュータ分野のノーベル賞と呼ばれるチューリング賞を受賞している。
    • 主な研究対象である「探索」とは、特定の制約条件を満たす物を見つけ出す行動のことであり、簡単に言うと、ある問題を解くために、試行錯誤を繰り返しながら目的達成する方法を意味する。
    • 探索には、深さ優先探索や幅優先探索、二分探索、線型探索など、様々な問題解決手法がある。
    • 探索で解決出来る問題としては、迷路やパズル、ボードゲーム(チェス、将棋等)があげられる。
    • 探索は迷路やパズル等簡単な問題(トイプロブレム※3)は対応できるが、現実問題に適応させることが困難であったため、研究者間に失望感が広がり、1970年代の冬の時代が訪れた。

      ※1 人工知能の話題 ダートマス会議(人工知能の話題: ダートマス会議 (ai-gakkai.or.jp)
      ※2 ジョンマッカーシーとは(ジョン・マッカーシー「世に広まれば、誰も “人工知能” とは呼ばなくなる」 | シンギュラリティ! (mitra.co.jp)
      ※3 トイ・プロブレムとは(トイ・プロブレムとは – AIPicks、みんなの人工知能AI用語
  2. 第二次AIブーム(知識獲得)
    • トイプロブレム以上の課題解決力を機械が得るには、人間並みの知識、現実世界の知識を与えれば良いのではないか、という観点から研究が活性化
    • 知識を組み合わせ、人間の代わりになる人工知能が開発された。これをエキスパートシステム※1と呼ぶ。エキスパートシステムの代表例に、スタンフォード大学で開発された、伝染病の血液疾患を診断する「マイシン※2があげられる。
    • 意味ネットワーク※3という考え方で機械に知識を与えた。意味ネットワークは様々な概念とそれらの関係をコンピュータで処理しやすいように表現したもので、例えば、人、哺乳類、動物、生物といった概念が、それぞれ人は哺乳類に、哺乳類は動物に属する、という具合に関連付けておく。こうすることで、人は生物であるということが機械的な処理で導出できるようになる。
    • 意味ネットワークの発展的な手法にオントロジーがある。オントロジーは、概念と概念間の関係を表現し、概念化の明示的な仕様と定義されている。このオントロジーを適切に構築することで、コンピュータが知識を有意義に操ることができると考えられている。
    • 研究が盛んになる一方で、知識をコンピュータに与える難しさが明らかになった。さらにその知識を人の期待に沿う形で処理することも同様に困難であった。これらを象徴する例として、フレーム問題シンボルグラウンディング問題があげられる。このような背景から、1995年頃から再び冬の時代を迎える。

      ※1:エキスパートシステム解説(AI(人工知能)のエキスパートシステムについて詳しく解説:株式会社 日立ソリューションズ・クリエイト (hitachi-solutions-create.co.jp)
      ※2:Mycin(Mycin – Wikipedia
      ※3:意味ネットワークについて(意味ネットワークについて (unixuser.org)
       
  3. 第三次AIブーム(機械学習・知識表現学習)
    • 第三次人工知能(AI)ブームは、2000年代から現在まで続いている。まず、現在「ビッグデータ」と呼ばれているような大量のデータを用いることで人工知能(AI)自身が知識を獲得する「機械学習」が実用化された。
    • 次いで知識を定義する要素(特徴量※)を人工知能(AI)が自ら習得するディープラーニング(深層学習や特徴表現学習とも呼ばれる)が登場したことが、ブームの背景にある。

      ※:対象を認識する際に注目すべき特徴は何かを定量的に表すこと。ディープラーニング以前は人間の手で特徴量を設計していたが、ディープラー ニングによって画像認識や音声認識などでコンピューターが自ら特徴量をつくりだすことが可能となった。

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30代、4歳と2歳の男の子のパパ。 製造メーカーに需給調整部門に所属し、ICTを活用した業務効率化や業務変革の提案や推進を担当。 このブログでは機械学習やビジネスインテリジェンスなど、データ分析に関する情報を主に取り扱う。

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